■小唐沢山を紹介する資料はほとんどないが、余地峠付近や榊山から見る小唐沢山の特徴ある山容は登高欲をかき立てる。その小唐沢山と近くの霊仙峰を目指して出掛けることにする。■約1年前、榊山に登りに来た時は道路工事の資材置場のようになっていた不老温泉跡の広場はすっかり片付けられていたが、積雪のため車を駐車するのは無理そうだったので、手前の橋の近くの県道の路肩に車を駐車して出発する。■滝ケ沢林道に入ると、1年ほど前に来た時は少し行った所に作業小屋があったが、無くなっていた。■10分くらい歩くと林道は分岐し、ここから左の滝ケ沢林道の支線に入る。■分岐から20分ほどで林道終点に達し、ここから登山道に入る。■雪で覆われた沢沿いの道を登っていく。登山道は足首くらいまでの積雪があるので、水流が少ない所は沢の中の方が歩きやすかった。■林道終点から約45分で日本で海から一番遠い地点に着く。■日本で海から一番遠い地点から南に5分くらい登って稜線上に出る。稜線上は幾分雪が締まっていて歩きやすく感じた。■小ピークを一つ越え、次の小ピークが「左の耳」と呼ばれている地点である。日本で海から一番遠い地点から20分ほどだった。今回は榊山頂上には寄らず、左の耳から南の植林の斜面を下っていく。途中でシカが逃げていった。■斜面を下り終わると尾根に乗った。ヤブが出てくるが、冬枯れでヤブ漕ぎというほどでもない。■左に尾根が分かれるが、そちらに引き込まれないように注意して進んでいくと、尾根は左に屈曲する。樹間に見える小唐沢山はなかなか迫力がある。■尾根に沿って緩やかに下っていくと前方に険しい感じのピークが見えてくる。そのピークは「右の耳」と呼ばれている地点になる。右の耳には直接登らず、その左にある小ピークに尾根は続いているのでそちらへ向かう。■小ピークで右に曲がると、痩尾根となる。両脇が足元から切れているので、注意して進む。■痩尾根を過ぎると、尾根は登りに転じる。振り返ると榊山が大きい。徐々に勾配がきつくなり、登り切った所が右の耳だった。左の耳から約35分かかった。■右の耳への登りはクラスト気味であり、小唐沢山の登りはかなりの急登が予想されたので、ここでアイゼンを装着した。■右の耳から鞍部まで一旦下り、小唐沢山まで登り返す。尾根筋を登っていくが、徐々に傾斜が増し、途中から雪の付いた岩壁を登っているような状況になる。立木は枯れたものが多く、ピッケルは食い込まないので、滑落しないように注意が必要しながら登っていく。■右の耳から約45分で小唐沢山頂上に着いた。小唐沢山頂上は木々で覆われているが、八ケ岳方面は刈り払われていて眺めがとても良かった。傍らには小唐沢山頂上を示す標識があった。■小唐沢山頂上から北側の尾根を下り、霊仙峰を目指す。この尾根もかなり急で、始めは痩せていて右側は若干雪庇のような感じになっていたので注意して下っていく。■傾斜が緩くなると、左に分かれる尾根に引き込まれないように注意しながら進んでいく。■稜線の右側に沿って進んでいくと、やがて前方に丸く見えていた霊仙峰への登りとなる。■斜面を登り切ると、小広い霊仙峰頂上に到着した。木に付けられた標識が霊仙峰頂上であることを示していた。三角点は雪に埋まっていてどこにあるか分からなかった。■霊仙峰から田口峠にかけても何箇所か左に尾根が分岐するが、引き込まれないように稜線の右側に沿って進むようにする。■霊仙峰から約10分で一つ目の小ピークを過ぎ、約30分で二つ目の小ピークを通過する。一つ目の小ピークへの登りでシカが数頭逃げていった。■二つ目の小ピークを過ぎた後、前方に見えるピークには行かず、左の沢を回り込み植林をかすめて、三つ目の小ピークに着く。霊仙峰から約50分だった。■三つ目のピークから稜線の右側に沿って進み、四つ目のピークを過ぎると、田口峠へ下っていく。■小唐沢山と田口峠の間は雪が無い時期は部分的にヤブが深そうに思えた。■田口峠で左に曲がり山腹を下っていくと、田口峠のトンネルの西口に下り立つことができた。■ここから県道を歩いてスタート地点に戻った。県道は冬期でも車の通行が可能であるが、結局2台しか通らなかった。道は舗装されているが、雪が積もっている箇所が多かったので、足への負担は少なかった。■山中では誰にも会わなかった。不老温泉跡から田口峠まで雪上に踏跡も皆無だった。■霊仙峰の三角点の点名は「大唐沢」である。霊仙峰を「大唐沢山」と捉えて、隣の鋭鋒を「小唐沢山」と呼んだのかもしれない。霊仙峰の方が知名度は高いと思われるが、山容は小唐沢山の方が独特で印象的である。小唐沢山は2万5千分の1地形図に山名表記が無く、不遇な山であるが、佐久の隠れた名峰と言える。(2015年2月7日記載) |