2018年1月20日(土)

南佐久

蟻山

1月20日 曇〜晴

高岩駅755 →歩→ 穴原805 →歩→ 蟻山840−900 →歩→ 崎田1010 →歩→ 八千穂駅1035

日帰り 単独

小海線の八千穂駅と高岩駅の間にある東電調整池の東に位置する標高1047.9mの三角点の点名は「皿久保」であり、この三角点峰は「蟻城」という山城の跡である。頂上直下には、地上デジタル放送を周辺の市町に送信している八千穂中継局というテレビ中継施設があり、NHKなどのホームページによると、その位置を「蟻山」とする記述が見られることから、ここではこの三角点峰を「蟻山」と呼ぶことにする。高岩駅から踏切を渡り、その先の分かれ道を右に進み、道なりに坂道を登っていく。坂の途中には休憩用のベンチがあり、微笑ましく感じる。右に曲がり送電線の下を通り過ぎて少し行き、突き当たりを右折すると穴原の集落に入っていく。集落の南側を通り抜けて集落の東の外れまで来ると、道が二手に分岐するので、道端に赤い鳥居がある左の道に進む。鳥居には「稲荷神社」と書いてあり、行かなかったが、石段の上には祠があるように見えた。鳥居の反対側には「林道蟻城線 管理者 八千穂村」と書かれた標識があり、この林道を登っていく。林道は針葉樹の落葉が堆積していてあまり車が入っていないようだが、簡易舗装が施されており、車の通行は可能と思われた。林道の入口から10分ほどで右に分岐する廃林道を見る。さらに10分ほど林道を登ると、八千穂中継局に着いた。反対側からは2万5千分の1地形図に記載されていない未舗装の林道が合流する。林道の西側には鉄塔が数基建ち並び、東側には「長野県防災行政無線八千穂中継所」と書かれた鉄塔が建つ。東側の鉄塔の脇に階段があるのでここを登っていく。階段が終わると左右に山道のようなものが通っているので、右から回り込むように登ると、蟻山頂上に到着した。八千穂中継局から5分ほどだった。蟻山頂上には「蟻城跡(南城跡)」や「八千穂村指定文化財第十号」、「昭和五十六年十一月三日指定 八千穂村教育委員会」と書かれた標柱と三角点があった。頂上の北側にもアンテナのようなものがあり、東側には大きな岩がある。木々で覆われていて眺望は無い。蟻山頂上でしばらく休憩した後、八千穂中継局まで戻り、登ってきた林道と反対側の林道を下ることにする。この林道は、鍛冶の入林道と言うらしい。鍛冶の入林道は未舗装路であるが、最近車が通った形跡があり、登りで使った蟻城林道よりも車の通行があるように思われた。途中、水が出る場所があるのか、凍結している部分があり、冬期の通行は注意を要する。林道は山腹を縫うように付けられており、勾配は緩やかである。2万5千分の1地形図に記載されていない上、登りになっている箇所もあり、進んでいる方向がよく分からず不安も感じるが、どこにつながっているのか興味深くもあり、先に進んでいく。八千穂中継局から20分ほど行くと「松茸山につき入山禁止 八千穂村」や「佐久穂町有林内立入禁止」、「入山禁止 この佐久穂町有林はマツタケ山のため入山を禁止します。無断で入山をした場合は法律により罰せられます。佐久穂町」と書かれた標識や看板が目に付くようになる。八千穂中継局から30分ほど行くと、左手に池があるのに気が付く。標高1052m地点の北側の標高970m付近にある池のようで、奥の池と言うらしい。若干神秘的な雰囲気も漂う。奥の池から10分ほど歩くと、林道が交差している地点に着いた。八千代中継局から初めての分岐である。ここでUターンするように左折する。他の道はどこへ続いているのか不明である。分岐から道は悪くなったように感じるが、すぐに簡易舗装が施された道になる。分岐から5分くらい行くと左側が開けて、その先に池があった。標高935m付近に位置する池のようで、鍛冶の入池と言うらしい。人工的に作った溜池と思われ、周囲はフェンスで囲まれていて趣が無い。池の近くに看板があり、「入山禁止区域図 この付近は八千穂村有林です。松茸山採取のため止山ですので、入山及び茸の採取を固く禁止します。無断で入山若しくは、茸類の採取をした場合は、民法第5章709条・710条で罰せられます。八千穂村長」と書かれた看板を見る。周辺の地図が描かれていて非常に興味深い。池から数分行くと、今度は左側の林の中に竪穴式住居風の建造物を見る。個人の所有物なのか公的な施設なのか不明である。道なりに進んでいくと、左手が徐々に畑地となり、蟻山も見えてくる。やがて左側に墓所を見て、その先で道が交差しているので右に進むと、左手に善福寺という寺を見る。おそらく廃寺でないかと思われる。その向かいには小さな神社がある。諏訪神社上社と言うらしい。池から20分ほどだった。民家が点在するようになり、左手に諏訪神社下社、右手に2つの大きな石碑を見ると、崎田の集落に入っていく。白壁の民家や蔵が印象的な歴史を感じさせる集落である。崎田の集落を抜けると、広大な農耕地が広がっている。左折して農耕地の中を通って八千穂駅に向かう。農耕地の奥に蟻山を望むことができた。八千穂中継局の鉄塔が見え、容易に同定することが可能である。蟻山を眺めていると、通りかかった地元の人に山城に関心があるのかと声を掛けられた。ちょうど登ってきたところだと答えると、今は山の中を歩くのにちょうど良い季節だとか、集落には下りてこないけれど山中にはクマがいるから注意が必要だとか、いろいろな話を聞かせていただいた。蟻山のことを蟻城と呼んでいたので、地元では「蟻城」が一般的な名称なのであろう。「崎田地区住宅案内図」と書かれた看板や「崎田原遺跡」と書かれた標柱を過ぎて少し行くと、車道は右にカーブして大きく回りながら八千穂駅の方へ下っていく。右にカーブする所から左に歩行者用の近道が分かれるので、ここを下って一旦車道を横切り、八千穂駅の北側で再び車道に出た。車道を下って小海線の踏切を渡り、突き当たりを左折して少し行くと、八千穂駅に到着した。林道や車道歩きが主体で、蟻山は登山の対象にならないような山であり、登山よりも山城に関心がある人にとって興味深い場所なのではないかと思われた。しかし、登山者が見向きもしないこの付近の里山は静かな山歩きを楽しむことができ、引き続き訪れたいと考えている。(2018年2月18日記載)


高岩駅(2018年1月20日)



穴原から蟻山を見る(2018年1月20日)



穴原の稲荷神社(2018年1月20日)


蟻城林道から蟻山を見る(2018年1月20日)



蟻城林道(2018年1月20日)



八千穂中継局から蟻山を見る1(2018年1月20日)



八千穂中継局から蟻山を見る2(2018年1月20日)



蟻山頂上直下にて(2018年1月20日)


蟻山頂上1(2018年1月20日)


蟻山頂上2(2018年1月20日)


蟻山頂上3(2018年1月20日)


蟻山頂上4(2018年1月20日)


蟻山頂上5(2018年1月20日)


蟻山頂上の三角点(2018年1月20日)


蟻山頂上の東側(2018年1月20日)


蟻山頂上を東側から見る(2018年1月20日)


鍛冶の入林道沿いの林(2018年1月20日)


鍛冶の入林道にて(2018年1月20日)


奥の池(2018年1月20日)


崎田付近から蟻山を望む1(2018年1月20日)



崎田付近から蟻山を望む2(2018年1月20日)


崎田付近から蟻山を望む3(2018年1月20日)



蟻山−GPS軌跡(2018年1月20日)

この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図25000を複製したものである。(承認番号 平26情複、 第537号)
 承認を得て作成した複製品を第三者がさらに複製する場合には、国土地理院の長の承認を得なければならない。




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