■三多気に車を停める。「三多気の桜」は、国の名勝に指定されていて駐車場や公衆便所も整備されているが、季節外れのため、閑散としていた。■桜の古木が立ち並ぶ車道を杉平まで下っていく。■杉平で国道に突き当たる。右折して御杖村の方へ少し行くと、道端に「いせみち」と書かれた古い道標の石碑があり、ここで左の小道に入る。この道は旧伊勢本街道であり、常夜灯として使われた古い石灯篭も見られる。■まもなく左に林道が分かれるので、「岳の洞」と書かれた道標に導かれてそちらに進む。■杉平から10分ほど行くと、水道施設と小祠があり、ここから未舗装路となった。この先、路面の状況からほとんど車は入っていないように思われた。■林道終点まで林道を登っていく。途中、山道を経由するコースもあり、その入口には矢印が書かれた標識があったが、林道を利用した。■山道の入口の先には林道が倒木で塞がれている箇所があり、案の定、車の通行はできない状況だった。■植林の中に付けられた林道をカーブしながら登っていく。水道施設から35分ほど歩くと、沢から土砂が流出したような所があり、その先が林道終点であった。途中で分岐した山道ともここで合流した。■林道終点から「岳の洞(学能堂山)←」と書かれた道標に導かれて、植林の中の登山道を登っていく。■途中で沢状の地形を横切ると、その沢筋に沿って直上するようになる。■植林の中をしばらく一本調子に登っていくと、やがて台地のような所で一旦傾斜が緩くなり、そこから少し登って稜線上に出た。林道終点からここまで35分くらいだった。道標と「杉平峠」と書かれた標識があった。■杉平峠で左折し、植林の尾根を登っていくと、尾根は広くなり、尾根上の植林と植林の間の部分は自然林のようになる。防火帯として切り開かれた後に遷移が進んで自然林のようになったのではないかと考えた。■やがて右側に動物除けの柵が現れ、これに沿って登っていく。柵は傾いていて、本来の役割は果たしていないように思えた。■植林を抜けて、明るい尾根を左から回り込んで登っていくと、学能堂山頂上に到着した。標識と三角点があった。杉平峠から学能堂山頂上まで25分ほどであった。■学能堂山頂上は眺めが非常に良く、360度の展望が広がる。これほど眺望が良い山は、なかなか無いかもしれないと思う。局ケ岳から三峰山に続く稜線や高見山、台高山脈方面、倶留尊山や大洞山、青山高原方面を見渡すことができた。■もうしばらく眺めを楽しんでいたかったが、風が強く、とにかく寒かったので、早めに切り上げて、御杖村の神末上村を目指して出発する。■学能堂山の頂上部の外れから急激に尾根を下っていき、植林に入ると傾斜が緩くなる。■だいぶ遠くに見えた白土山は、実際には思ったよりも近く感じた。■白土山へ登っていくと、植林を抜けて、背後に学能堂山を望むことができた。■白土山頂上は尾根の途中のような場所で、木に付けられた標識が無ければ、気付かずに通り過ぎてしまいそうな場所である。■白土山頂上を過ぎると、尾根の右側に林道跡のようなものが近づく。少し行くと「コスマ峠←」と書かれた道標があり、これに従って左に向きを変え、植林の中を下っていく。■小須磨峠は峠という地形には見えなかったが、道標が小須磨峠であることを示していた。左の美杉方面の道と前方の三峰山方面の道は不詳だった。ここで右折してさらに植林の中を下っていく。■小須磨峠から打ち落とされた枝が堆積していたりして道が若干分かりにくくなると同時に、沢筋を下っていくようになる。■やがて水流が現れると、沢の右岸を行くようになり、道が明瞭になる。■小須磨峠から20分くらいで林道の終点に着いた。新しい轍があり、最近車が来たように見受けられた。■林道は沢の左岸に付けられている。右岸には石積みが見られる場所もあり、昔は所々に民家があったのではないかと思った。■林道終点から10分ほど進むと、ゲートがあり林道を抜ける。ゲートには「扉は必ず閉めて下さい 地元農家一同」や「一般車両通行不可 御杖村」と書いてあった。■まもなく集落に入り、「風呂の本橋」という橋を渡り、5分くらいで神末上村のバス停に着いた。「上村観光案内所」と書かれた小屋がある。■神末上村から神末川の右岸の車道を行く。■途中で橋を渡って御杖神社に立ち寄った。神末上村から御杖神社まで20分ほどだった。■標高479m地点の近くの橋を渡って再び神末川の右岸に戻り、神末東町のバス停のある突き当たりを右折する。■緩やかに坂を登っていき、登り着いた所は佐田峠という。傍らに明治維新の神仏分離令により首が損傷された「首切地蔵」という地蔵と昔使われていた「行悦道標」という道程が刻まれた自然石があった。■佐田峠から緩やかに下り、道が二又に分かれている所を左に進んでいくと、国道に出た。右折して国道を10分も歩くと、道の駅や温泉がある敷津の交差点に到着した。■敷津から国道を通り、杉平を経て三多気に戻った。■学能堂山は植林の山であり、林道歩きも長くて一見つまらなそうな山であるが、頂上からの展望はこの付近の山域では随一のものと言え、もっと注目されても良い山のように思った。(2020年3月22日記載)
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